インターネット全国大会で優勝すること
インターネットには最初からトップクラスと比較される問題があるとよく言われているが、いきなりトップを取ってしまうという悲劇も存在する。
全国大会で優勝するという悲劇
インターネットに公開されたものは、基本的に全世界から見ることができるため、世界中の人から評価される。
言語の壁はあるが、日本語を使っているコンテンツなら日本語圏全体から見られ評価される。
日本語圏全体で評価されるということは、日本のトップクラスとも戦うことを意味する。
いきなり全国大会に挑戦させられるようなもので、県内最強とか地元では一番といった称号を持てず、実力を細かく認識できない。
下の記事は、インターネットには地方大会が必要だと指摘している。
地方大会を戦うことで少しづつレベルアップできるという趣旨である。
inkyodanshi21.com
これ以外にも同じ問題を指摘する人は見かけるが、いずれも全国大会で敗退することを問題視している。
地方大会でなら優勝できる人が全国区の大会しかないせいで初戦敗退するという事故は、インターネットではよく見られるため、指摘する人が多いのも当然である。
しかし、いきなり全国大会で優勝してしまうという悲劇もごく少数ながら存在する。
どうぶつタワーバトル
全国大会で優勝することがなぜ悲劇になるのかは、下の記事を読めば分かる。
blog.planet12.jp
11月までは同時接続数が数人のアプリだったのが、12月初めには数万人の規模になった。
急激な利用者の増加に、サーバーやプログラムや開発者のメンタルがやられてしまった。
もとから大人数がプレイすることを想定していないゲームで、一挙に人気になったため、対応する時間がなかった。
少しづつ利用者が増えていくか、あるいは最初から大人数向けに作っているゲームであれば、作者が急激に病むこともなかっただろう。
全国大会で戦いたかったわけではない人が、いきなりインターネットの全国大会で優勝してしまったがゆえの悲劇である。
mstdn.jp
どうぶつタワーバトルはAppStoreあるいはスマホの対戦ゲームという出場者の多い大会で優勝してしまった例だが、ほとんどライバルがいないために不戦勝してしまった例がmstdn.jpである。
www.itmedia.co.jp
自宅サーバーに立てたmastodonのインスタンスに、10日程度で8万人のユーザーが利用するようになった。
mastodonが日本語圏で知られるきっかけになったのもmstdn.jpなので、気づいたら初代王者になっていたというのが正しいかもしれない。
上の記事では、大量のユーザーを抱えることによる問題がいくつか書かれているが、どうぶつタワーバトルの作者ほとの悲痛さは感じられない。
大学を休学してドワンゴに入社するのも、個人では管理できなくなったことが原因ではあるが、成功した部類に入る。
とはいえ、サーバ移転のさいにはデータをすべて消すという思い切ったことをしている。
ゆっくりとユーザー数が増えていたならばもっと穏やかにサーバの増強ができていただろう。
全国大会で思いがけず優勝してしまったことの弊害が少し出ている。
バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん
最後の例はかなり微妙だが、バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさんである。
panora.tokyo
12月初めには300人程度だったチャンネル登録者数が、ブログ記事で紹介されたことで年末には10万人を超えた。
上の記事では急激に登録者数が増えたことによる弊害はあまり語られていないが、思いがけず有名になったために問題が生じたことはあったようである。
この頃(2017年7月)はフォロワーも2千人と今と比べたら多くはなく、今(2018年1月)とは事情が異なり、バカな発言をしても注目されなかったので身の振り方を考えるキッカケがありませんでした。
— けもみみおーこく公式 (@kemomimi_oukoku) January 16, 2018
今回の件と今の立場をふまえて、今後は改善に務めます。申し訳ありません。
本人のブログによると望まない形で人気になったことが最大の悩みのようで、全国大会に優勝してしまう悲劇とは少しずれる。
悲劇の原因
全国大会で敗退する問題にせよ優勝してしまう悲劇にせよ、インターネットでは多数の利用者がフラットにつながっていることが原因だと言える。
ここで挙げた3つのサービスやキャラクターでは、いずれもユーザーやファンは10万人程度である。
個人で対応するには多すぎる人数なのだが、日本語でインターネットをしている人がざっくり1億人とすると、その千分の一でしかない。
インターネットに公開されているコンテンツは、簡単にアクセスできるため、何かきっかけがあればすぐに大量の人が押し寄せてくる。
そのほとんどが好意的だとしても、一部の好意的でない人や、必要なリソースが急増することで、コンテンツの質を維持することができなくなる。
実際には個人で制作したコンテンツが人気になることは難しく、上に書いた現象はかなり稀にしか起きない。
企業などが大量のユーザーを想定して作ったりものが人気になることや、大量の人から批判されるいわゆる炎上の方が圧倒的に多い。
まとめ
インターネットは多数の人がフラットにつながっているため、個人が細々と公開していたコンテンツに唐突にファンやユーザーが増え、作成者が対応しきれなくなるという悲劇が稀に発生する。